バイクのタイヤ側面にある「180/55ZR17 M/C(73W)」という表記が読めても、それだけで自分のバイクに合うタイヤを選べるわけではありません。
タイヤを選ぶときは、バイクメーカーが指定しているサイズを基準に、タイヤの標準リム幅や許容リム幅、前輪用・後輪用の指定、荷重指数、速度記号なども確認します。
同じサイズ表記のタイヤでも、すべての車種にそのまま装着できるとは限りません。
タイヤメーカーの適合情報やバイクの取扱説明書を確認し、判断が難しい場合はバイク屋さんに相談することも大切です。
この記事では、サイズ表記の意味がわかったあとに、実際のタイヤ選びで見ておきたいポイントを順番に整理します。
「180・55・ZR・17に加えて、M/Cや73Wが何を表しているのか、まずは簡単に知りたい」という方は、先に「バイクタイヤの数字はどう読む?180/55ZR17 M/C(73W)の意味をやさしく解説」をご覧ください。
サイズ表記の基本を確認してから読むと、この先に出てくるリム幅や荷重指数の話も入りやすくなります。
タイヤはサイズ表記だけでは選べない

タイヤを探すとき、まず目に入るのは「180/55ZR17」などのサイズ表記です。
タイヤを比べるなら、まずはサイズ表記を見ると思います。
数字が同じなら、ひとまず合っていそうに見えますよね。
けれど、実際には同じサイズで売られているタイヤが、すべて同じ条件で使えるわけではありません。
タイヤを選ぶときは、次のような項目も確認します。
- バイクメーカーの指定サイズ
- 前輪用か後輪用か
- 荷重指数
- 速度記号
- 標準リム幅と適用リム幅
- チューブ用かチューブレス用か
- 回転方向
- 車種への適合
- タイヤが想定している用途
こうして並べると、見るところ多くない?と思います。
でも、全部を難しく考えなくても大丈夫です。
まずはバイクの指定を確認して、その条件から外れていないタイヤを探す。
そこから順番に見ていけば、かなり整理しやすくなります。
最初にバイクの指定サイズを確認する

タイヤを選ぶ前に、現在付いているタイヤだけでなく、バイクメーカーが指定しているサイズを確認します。
指定サイズは、バイクの取扱説明書などに記載されています。
今付いているタイヤが指定サイズとは限らない
中古車では、以前の所有者が純正とは異なるタイヤへ交換している可能性があります。
そのため、現在付いているタイヤを見ただけで、「これがメーカー指定なんやな」と決めないほうが安心です。
タイヤ側面の表記は、今付いているタイヤを知るための情報です。
バイク本来の指定を確認する情報とは、いったん分けて考えます。
車種名だけでなく年式や型式も見る
同じ名前のバイクでも、年式や型式によってタイヤサイズやホイールが異なる場合があります。
適合情報を調べるときは、車種名だけでなく、年式や型式も一緒に確認します。
ここが曖昧なままやと、名前は同じでも別の仕様を見ていた、ということが起こりかねません。
わからないときは適合情報を確認する
取扱説明書が手元にない場合は、タイヤメーカーの車種別適合情報や販売店で確認します。
似た車種の情報を、そのまま自分のバイクへ当てはめないことも大切です。
少し手間に見えても、最初の確認をきちんとしておくほうが、あとで迷いにくいと思います。
前輪用・後輪用・回転方向を見る

バイクタイヤには、前輪用、後輪用、前後共用の製品があります。
サイズが合っていても、指定された装着位置が違えば、そのまま使えるとは限りません。
FrontとRearの表示を確認する
メーカーのサイズ表では、次のような表記が使われることがあります。
- Front
- Rear
- Front/Rear
- F
- R
前輪と後輪では、タイヤにかかる力や求められる役割が同じではありません。
前輪用は前輪へ、後輪用は後輪へ。
まずは製品ごとの指定どおりに考えるのが基本です。
回転方向が決められている製品もある
回転方向が指定されたタイヤの側面には、矢印や「ROTATION」などの表示があります。
この矢印は、タイヤが回る向きを示しています。
ただし、前後共用タイヤの中には、前輪と後輪で取り付ける向きが変わる製品もあります。
矢印だけ見て「こっちやな」と決めるのではなく、前後の表示も合わせて確認します。
迷ったまま取り付けない
回転方向や装着位置は、取り付けたあとでは見落としたくない部分です。
表示の読み方に迷うときは、販売店や整備店で確認してもらうほうが確実です。
ここは無理に自分だけで答えを出さんでもええところやと思います。
標準リム幅と適用リム幅を確認する

同じ17インチのホイールでも、横幅まで同じとは限りません。
タイヤには、それぞれ基準となるリム幅と、装着できるリム幅の範囲があります。
標準リム幅とは
標準リム幅は、タイヤの寸法を測定するときなどに基準として使われるリム幅です。
タイヤメーカーの製品表を見ると、サイズと一緒に記載されている場合があります。
「この幅のリムへ組んだときの寸法を基準にしています」という目安として見るとわかりやすいです。
適用リム幅とは
適用リム幅は、そのタイヤを装着できるリム幅の範囲です。
同じ「180/55ZR17」という表記でも、製品によって公表されている標準リム幅、適用リム幅、外径などが異なる場合があります。
別のタイヤで見た数値を、そのまま新しく選ぶタイヤへ当てはめないようにします。
リム幅が変わるとタイヤの形も変わる
タイヤは、組み合わせるリム幅によって断面の形が変わります。
狭いリムへ組んだときと、広いリムへ組んだときでは、同じタイヤでも形がまったく同じにはなりません。
適用範囲から外れたリムへ装着すると、メーカーが想定した形から外れ、操作感や接地状態、摩耗の進み方へ影響する場合があります。
17インチ同士やから入るやろう、では決められへんのですね。
荷重指数と速度記号は指定を基準にする
タイヤ側面の「73W」には、荷重指数と速度記号が書かれています。
数字が大きいほど何でも上という見方ではなく、バイクに必要な条件を満たしているかを確認するための表示です。
荷重指数は支えられる重さの表示
荷重指数は、規定された条件でタイヤ1本が支えられる最大負荷能力を指数で表したものです。
例えば、荷重指数73は365kgに対応します。
ただし、365kgまでならどのバイクでも使える、という意味ではありません。
前後のタイヤには同じ重さがかかるわけではなく、乗る人や荷物の位置、加速や減速によって荷重のかかり方も変化します。
指定より低い数字を自己判断で選ばない
最大負荷能力だけを計算して、「これでも足りそうやな」と判断するのは避けます。
タイヤを交換するときは、バイクメーカーが指定している荷重指数を確認します。
サイズが合っていても、荷重指数が指定より低いタイヤを、そのまま候補に入れないほうが安心です。
速度記号は総合評価ではない
主な速度記号には、次のようなものがあります。
- J:100km/h
- L:120km/h
- P:150km/h
- S:180km/h
- H:210km/h
- V:240km/h
- W:270km/h
- (W):270km/h超
速度記号は、規定された条件におけるタイヤの速度能力を示します。
公道で出してよい速度を表しているわけではありません。
また、記号が高ければ、雨の日の性能や乗り心地、摩耗しにくさまで全部上になる、という意味でもありません。
速度記号は、タイヤの良し悪しを表すものではありません。
チューブ用とチューブレス用を確認する
タイヤには、チューブを使うタイプと、チューブを使わないタイプがあります。
ここはタイヤだけでなく、ホイール側の構造も関係します。
TLとTTの表示
タイヤ側面や製品情報では、次のような表示を見かけます。
- TL:チューブレス
- TT:チューブタイプ
まずは、選ぼうとしているタイヤがどちらのタイプなのかを確認します。
TLなら必ずチューブなしとは限らない
チューブレスタイヤを、どのホイールでもチューブなしで使えるわけではありません。
ホイールがチューブレスに対応した構造なのか、メーカーがどのような組み合わせを指定しているのかも確認します。
タイヤ側面のTLだけを見て、組み合わせまで決めないことが大切です。
組み合わせがわからないときは確認する
チューブの有無は、空気を保持するための大切な部分です。
判断に迷う場合は、タイヤとホイールの組み合わせを販売店へ伝えて確認します。
ここを「たぶんいけるやろう」で進めるのは、さすがにちょっと怖いです。
ラジアルとバイアスを気軽に入れ替えない
タイヤの構造には、ラジアル、バイアス、ベルテッドバイアスなどがあります。
表記では、R、ハイフン、Bなどで示されます。
構造を示す記号
主な表記は次のとおりです。
- R:ラジアル構造
- ハイフン:バイアス構造
- B:ベルテッドバイアス構造
同じ幅やリム径でも、構造まで同じとは限りません。
構造が変わると動きも変わる可能性がある
構造が異なると、タイヤの変形のしかたや車体から感じる反応も変わる可能性があります。
ラジアルのほうが新しそう、バイアスのほうが価格を抑えやすそう、といった理由だけで入れ替えるものではありません。
バイクメーカーやタイヤメーカーの指定を基準にします。
高そうな構造が正解とは限らない
タイヤは、構造の名前だけで良し悪しが決まるものではありません。
車体に合うこと、使い方に合うことのほうが大切です。
数字や文字を見て、上に見えるものを選ぶより、指定された組み合わせから外れないことを優先したほうが気持ちも楽です。
太いタイヤへ変えれば良くなるとは限らない

純正より太いタイヤは、見た目の印象が大きく変わります。
迫力が出るので、ちょっと気になる気持ちはわかります。
でも、太くすればそのまま性能も上がる、とは限りません。
タイヤの動きは幅だけで決まらない
タイヤの動きには、次のようなものが関係します。
- リム幅
- タイヤの構造
- トレッド形状
- ゴムの性質
- 空気圧
- 車体重量
- サスペンション
- 路面や温度
幅だけを大きくしても、車体との組み合わせが合っていなければ、思っていた動きになるとは限りません。
高出力車の太いタイヤは車体と一緒に設計されている
高出力のバイクに太いタイヤが使われているのは、タイヤだけを太くしているからではありません。
ホイール、車体、サスペンションなどを含めて、その幅に合うよう設計されています。
見た目だけをまねしてタイヤ幅だけ変えても、同じ結果にはならないんです。
扁平率だけでも乗り心地は決まらない
扁平率の数字が小さいタイヤは、同じ幅なら断面の高さが低くなります。
ただし、数字が小さいから必ず硬い、数字が大きいから必ず柔らかいとは限りません。
乗り心地や反応には、内部構造、ゴム、トレッド形状、空気圧なども関係します。
扁平率だけを見て、乗り味まで決めつけないほうがよいでしょう。
サイズ変更では接触と外径も見る
純正とは異なるサイズへ変更するときは、タイヤ単体の数字だけでなく、車体との関係も確認します。
止まっている状態で入ったから大丈夫、では判断できない部分があります。
周辺部品へ接触する可能性がある
確認が必要になる部分には、次のようなものがあります。
- スイングアーム
- チェーンやベルト
- フェンダー
- サスペンション周辺
- ブレーキ周辺
停止中に接触していなくても、走行中にはタイヤが変形し、サスペンションも動きます。
見た目では隙間があるように見えても、走行時に必要な余裕まで確保できているとは限りません。
外径が変わると車体の姿勢へ影響する
タイヤ幅や扁平率を変えると、タイヤ全体の外径が変わる場合があります。
外径が変われば、車高や車体の姿勢、操作感などへ影響する可能性があります。
ほんの少しの違いに見えても、タイヤは車体を支えている部分なので、数字だけでは済まないんですね。
速度表示へ影響する車種もある
車輪の回転を使って速度を検出するバイクでは、外径の変化が速度計の表示へ影響する場合があります。
ただし、速度を検出する場所や方法は車種によって異なります。
外径を変えれば、すべてのバイクで同じように表示が変わるとは限りません。
サイズ変更を考える場合は、車種ごとの適合に詳しい販売店へ相談するのが確実です。
同じサイズ表記でも実際の寸法は同じとは限らない
同じ「180/55ZR17」と書かれていても、すべての製品がまったく同じ寸法になるわけではありません。
サイズ表記はタイヤの呼びを示すもので、実際の外径や幅には製品ごとの差があります。
製品ごとのサイズ表を見る
タイヤメーカーの製品情報では、次のような項目が公開されている場合があります。
- 外径
- タイヤ幅
- トレッド幅
- 標準リム幅
- 適用リム幅
- 前後の指定
- 荷重指数
- 速度記号
サイズ名が同じでも、購入する製品の情報をあらためて確認します。
車体との隙間が少ないときは特に注意する
車体とタイヤの隙間が少ない場合は、少しの寸法差でも影響する可能性があります。
純正サイズと同じ表記だから、実際の幅まで必ず同じとは考えないほうがよいでしょう。
前に使っていた製品の数値を流用しない
以前使っていたタイヤの適用リム幅や外径を、新しく選ぶ別製品へそのまま当てはめることはできません。
似た名前や同じサイズでも、製品は別物です。
購入するタイヤそのものの情報を見る。これがいちばん確実です。
適合するタイヤの中から用途で選ぶ
サイズや装着条件を満たしたタイヤの中にも、性格の違う製品があります。
ここまで確認して、やっと「普段どう使うか」を考えるところへ進めます。
ツーリング向け
ツーリング向けには、長い距離や雨を含むさまざまな状況を考えて設計された製品があります。
ただし、ツーリング向けなら必ず長持ちする、雨の日でも滑らないという意味ではありません。
メーカーがどの性能を重視しているのか、製品ごとに確認します。
スポーツ向け
スポーツ向けには、旋回時の反応やグリップなどを重視した製品があります。
同じスポーツ向けでも、公道での扱いやすさを考えたものや、乾いた路面での性能を強く意識したものなど、性格は一つではありません。
スポーツという名前だけで、全部同じやと思わないほうがよいでしょう。
街乗りや未舗装路向け
通勤や買い物など、普段使いを考えた製品もあります。
未舗装路向けでは、ブロックパターンを採用したタイヤなどがありますが、公道中心、舗装路との両用、競技向けでは使い方が異なります。
見た目が似ていても、想定されている用途まで同じとは限りません。
空気圧はバイクの指定を確認する
タイヤを交換したあとの空気圧は、基本的にバイクメーカーが指定している冷間時の数値を確認します。
タイヤ側面に書かれた数字を見て、そのまま普段の空気圧だと判断しないようにします。
指定空気圧を見る場所
指定空気圧は、バイクの取扱説明書や車体に貼られたラベルなどで確認できます。
一人で乗る場合と、二人乗りや荷物を積む場合で指定が分かれているバイクもあります。
自分の使い方に合う条件を確認します。
測るのは走行前の冷えた状態
走行するとタイヤが温まり、内部の空気圧が上がります。
そのため、空気圧は走行前の冷えた状態で測ります。
走った直後の数字だけを見て、慌てて空気を抜かないようにします。
変更後の空気圧を自己判断しない
タイヤの種類やサイズを変更した場合、どの空気圧を使えばよいのか迷うことがあります。
判断できない場合は、バイクとタイヤの両方に詳しい販売店へ確認します。
空気圧も、高いほうがしっかりしそう、低いほうが乗りやすそう、と感覚だけで決めないほうが安心です。
タイヤを選ぶときはこの順番で確認する
タイヤ選びでは、最初からすべての数字を見比べようとすると、少ししんどくなります。
私は、次の順番で一つずつ確認する形がわかりやすいと思います。
- バイクメーカーの指定サイズ
- 前輪用か後輪用か
- 荷重指数
- 速度記号
- 標準リム幅と適用リム幅
- ラジアルかバイアスか
- チューブ用かチューブレス用か
- 回転方向
- 車種への適合
- 自分の使い方に合う製品か
途中でわからない項目が出てきたら、表記が似ているからという理由でそのまま購入せず、販売店やタイヤメーカーへ確認します。
全部を自分だけで判断できなくても大丈夫です。わからんところは聞く。それもタイヤ選びのひとつやと思います。
まとめ
バイクタイヤは、「180/55ZR17」などのサイズ表記が同じというだけでは選べません。
前輪用と後輪用、荷重指数、速度記号、リム幅、タイヤ構造、チューブの有無など、サイズの外にも確認しておきたい部分があります。
また、同じサイズ表記でも、製品によって実際の外径や幅、適用リム幅などが異なる場合があります。
純正とは違うサイズへ変えると、車体との接触や操作感、外径などへ影響する可能性もあります。
特別な理由がなければ、まずはバイクメーカーが指定している条件を基準にして、その中から自分の使い方に合うタイヤを探す。
その順番で確認すると、落ち着いて選びやすくなります。
数字が大きいほうが良い、見た目が太いほうが安心、という単純なものではありません。
ひとつずつ条件を確認して、わからないところでは無理をしない。
タイヤ選びも、それくらい自分のペースでええんやと思います。